前歯のセラミックを考えてはいるものの、費用や施術方法などが分からず決めきれない人は少なくありません。 今回は前歯のセラミックについて、詳しく解説していきます。
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- 1.セラミックとは?
セラミックとは?
もしセラミックを選択するのであれば、その特徴を正しく知っておかなくてはなりません。
まずはセラミックとは何かを、以下の解説で知っておきましょう。
自費診療の詰め物や被せ物のこと
セラミックは、陶器に使用されている材質であるセラミックを使用し、むし歯治療の際に使用される被せ物・詰め物のことを言います。
従来の詰め物や被せ物は金属を詰めるという工程が行われていましたが、近年ではセラミックが選択されることが多いのが特徴です。
また、セラミックの機能性向上を目指し、ジルコニアを使った治療が行われることも増えています。
これまで以上に耐久性が高く、優れた品質であるため、今後も患者様から選ばれていく治療法といえるでしょう。
審美性を重視する人に適した治療法
セラミックはまるで天然歯のように、白く美しい見た目という特徴があるため、審美性を重視する方に適しています。
治療をしたことが分からないほど、ナチュラルな仕上がりになるため、美意識が高い女性を中心に人気がある治療法です。
金属は見た目が天然歯とは異なるため、誰が見ても治療箇所が明らかです。
対してセラミックは、治療箇所を見ても分かりにくく、ナチュラルな見た目を維持できます。
特に前歯は目立ちやすい箇所ですが、自然な見た目のセラミックなら治療の跡もわかりにくいです。
【前歯に】セラミックのメリットは5つ
前歯の治療にセラミックを選択するメリットは、大きく分けて5つ挙げられます。 以下で詳しく解説していきます。
審美性が高い
セラミックは透明感のある、天然歯にそっくりな見た目です。
上述したように、前歯は食事や会話などをする度に目に入る場所のため、従来の金属だと目立ってしまいます。
口を開くたびに、キラキラした金属が見えてしまうのは、コンプレックスに感じる方も少なくないでしょう。
セラミックを選択すれば、治療をしたことが周りから分からず、美しく健康な印象を保てます。
目立ちやすい前歯を、自然な形で治療できるので、キレイな見た目を維持することにつながるでしょう。
金属アレルギーの方も安心
被せ物・詰め物などに使用する金属ですが、これはアレルギーを持っている人にとって大きな負担となります。
アレルギーによる反応が出てしまうと、様々な症状が発生してしまいます。
しかしセラミックの中には、金属が一切使用されていないため、アレルギー症状を起こす心配がなくなります。
なお、金属アレルギーであることを歯科医師へ申告すれば、材質に関する相談を受けられるので、必ず伝えておきましょう。
前歯の形やすきっ歯を解消
セラミックは歯並びの改善効果も期待できます。
歯並びは金属による見た目と同様に、審美性に大きく関わるポイントなので、美意識が高い方にとっては欠かせません。
セラミックなら、歯の状態に合わせて被せ物を制作できるため、すきっ歯をカバーすることが可能です。
前歯の形にコンプレックスがある方にとって、形を自由に調整できるセラミックはとても心強いでしょう。
すきっ歯が解消されれば、歯に食べ物が挟まるリスクも回避できるようになり、むし歯や歯周病の対策になるでしょう。
むし歯になりにくい口内環境を作る
セラミックは他の治療法よりも、むし歯になるリスクが少ないと言われています。
これはセラミックの材質が金属と比較して、むし歯の原因となる酸に強いためです。
長期間詰め物や被せ物を使用しても、品質低下するリスクが非常に低く、汚れも蓄積されにくいという特徴があります。
また、上述したように、すきっ歯を解消させることによって、食べ物が歯と歯の間に詰まる問題が解消されます。
その結果むし歯の原因となる食べかすが蓄積されにくくなり、健康な口腔環境を維持しやすくなるでしょう。
歯茎の黒ずみを軽減
歯茎が黒ずんでしまうというトラブルは、金属の詰め物が関係している場合があります。
口の中の金属が、酸によって解けてしまうことで、歯茎が徐々に黒ずんでしまうのです。
セラミックなら金属が含まれていないため、リスクはありません。
【前歯に】セラミックのデメリットは4つ
セラミックにはデメリットが4つあります。
上記デメリットを紹介したように、様々な魅力がある治療ですが、良いことばかりではありません。
安心して治療を受けるためにも、デメリットも正しく認識しておくことが大切です。 以下の解説を参考にしてみてください。
前歯だけでも値段が高い
セラミック治療は自費診療であるため、保険が一切適用されません。
一般的な保険治療と比較すると、費用がかなり高額になってしまいます。
仮に前歯1本だけだったとしても、費用相場は8~20万円となり、金銭的な負担は避けられません。
一般的な保険治療の場合は、数千円から治療できることを考えると、高額で手を出しにくいと感じる方も少なくないのが現実です。
もちろん自費診療である分自由度が高く、審美性や機能性も優れていますが、少なからず費用負担が大きくなることを知っておきましょう。
割れる可能性がある
セラミックの材質は陶器に使用されているものと同じです。
仮に大きな衝撃を与えてしまうと、陶器と同じように割れてしまう恐れがあります。
もちろん少しの衝撃で割れてしまうような材質ではありませんが、金属とは違って強い衝撃に耐えられる材質では無いものです。
たとえば食事の際に思いきり歯を噛みしめたり、硬いものにぶつけたりしないように気を付ける必要があります。
もし割れてしまうと、余計に費用がかかる結果となってしまうため、日頃から強い衝撃を与えないよう配慮しなくてはなりません。
治療に痛みを伴う可能性がある
治療の際には麻酔を行うのが一般的なため、通常は痛みを感じる心配はありません。
強いていえば、麻酔をする際のチクッとした痛みを感じる程度です。
しかし麻酔が切れてしまうと、多少の痛みを感じる場合があります。
基本的には鎮痛剤を処方するため、痛みが気にならなくなる場合がほとんどですが、個人差があることを認識しておきましょう。
交換が必要な可能性がある
もし二次むし歯や歯周病などのトラブルが起こった場合は、セラミックを交換しなくてはならない場合があります。
一度セラミックを取り入れたからといって、どんな状況になっても一生使用できるわけではないことを理解しておきましょう。
また、セラミックは陶器と同じ材質のため、割れやすいという解説をしました。
もし割れてしまった場合も、交換が必要になってしまうため、余計に費用がかかります。
衝撃を与えない、むし歯や歯周病を予防するなど、日頃から気を配りながらセラミックを使うことが大切です。
セラミックの値段と種類を紹介!
セラミック治療で最も気になるのは、やはり値段と種類ではないでしょうか。
特に値段については、予算外だったというケースも少なくないため、他の治療方法を選択する方もいらっしゃいます。
今後セラミック治療を検討するうえで、値段と種類を把握することはとても大切です。
以下で種類と値段を解説しているので、詳しく見てみましょう。
オールセラミック
オールセラミックの値段相場は詰め物に6万円前後、被せ物に8~22万円、ブリッジに12~20万円かかる計算となります。
1本あたり10万円以上の費用がかかると思っておいたほうがよいでしょう。
オールセラミックは金属を一切使用せず、金属アレルギーの患者様が選択する治療法となるため、多くのクリニックで取り入れられています。
金属が一切含まれていない素材なら、アレルギー反応が起こるリスクを回避できるでしょう。
奥歯に使用されると、食いしばりによって割れる心配がありますが、前歯は比較的負荷がかかりにくいため、あまり心配ないと考えられます。
ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックの値段相場は詰め物に4~6万円、被せ物に10~20万円かかります。
ジルコニアセラミックは、人工ダイヤモンドと呼ばれている材質であり、美しさと強度を併せ持っているのが特徴です。
まるでダイヤモンドのように硬くて強い品質のため、機能性を重視する方から選ばれています。
ジルコニアセラミックの場合は、1本あたり16万円以上の治療費がかかることがほとんどです。
自費治療のため治療費は比較的高いですが、天然歯のような見栄えになり、美しい見栄えになります。
前歯の審美性を重視したい方におすすめです。
セラミックの寿命と長持ちさせる方法を解説
セラミックは割れてしまったり、交換が必要になったりする場合があります。
陶器と同じ材質でできている以上、負担をかけてしまうとダメになってしまうものです。
決して一生物ではないセラミックですが、実際の寿命はどれくらいなのでしょうか。
自由診療ではないからこそ、セラミックの寿命は気になるポイントです。
何度も定期的に交換が必要になってしまうのであれば、治療費が余計にかかってしまうでしょう。
ここではセラミックがいつまで使用できるのか、また長持ちさせるポイントなどを解説します。
セラミックと銀歯の寿命の比較
セラミックは銀歯よりも寿命が長いと言われています。
もちろん一人ひとりの口腔環境によって差があるため、一概には言えませんが、検証もされております。
銀歯の平均寿命はおよそ5~7年とされていますが、セラミックは丁寧に使用することで、より長持ちすると考えられています。
セラミックの生存率を検証したところ、5年でおよそ98%という検証結果が判明しており、強い負担をかけなければ5~7年以上使い続けることは難しくないでしょう。
引用文献:Sailer I, Makarov NA, Thoma DS, Zwahlen M, Pjetursson BE. All-ceramic or metal-ceramic tooth-supported fixed dental prostheses (FDPs)? A systematic review of the survival and complication rates. Part I: Single crowns (SCs). Dent Mater. 2015 Jun;31(6):603-23. URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25842099/
セラミックのほうが寿命が長い理由として、汚れが付きにくく、精度が高いという特徴が挙げられます。
また、上述したようにセラミックは、むし歯から出る「酸」に強いため、劣化しにくいです。
強い衝撃を与えないよう気を配っていれば、長年使用できます。
歯ぎしりや食いしばりを避ける
セラミックは強い衝撃に弱いため、歯ぎしりや食いしばりなどは割れてしまう恐れがあります。
陶器のような材質は、負担が大きいと割れてしまう恐れがあるため、可能な限り避けてください。
中には歯ぎしりや食いしばりなどが、癖になっている患者様もいます。
ストレスが蓄積すると、睡眠中に無自覚で行っているケースも珍しくありません。
心当たりがある場合は、必要に応じてマウスピースを使用しましょう。
クリニックでの定期的なメンテナンス
セラミック治療が終わった後も、しっかりメンテナンスを行う必要があります。
メンテナンスを怠っていると、セラミックの劣化を進行させてしまうため、必ずお手入れを行いましょう。
クリニックで定期健診を受けることで、むし歯や歯周病などを回避して、セラミックを長持ちさせることが可能です。
また、噛み合わせの確認も行えます。
病気の早期発見は、口腔環境を健やかに保つために重要なポイントです。
早く問題を見つけられれば、セラミックが劣化するリスクを回避して、長年使用できるでしょう。
セラミックの良し悪しを知る
セラミック治療には、魅力的な点が多数あります。
特に審美性については、保険診療の詰め物・被せ物と比較すると、非常に優れている点といえるでしょう。
目立ちやすい前歯をセラミックにすれば、自然で美しい見た目になるため、必要に応じて治療を検討してみてください。
今回はセラミックのデメリットや、金額についてなども紹介してきました。
実際に治療を行った場合のことをイメージしてみてください。 もしセラミック治療をお考えの場合は、当院へお気軽にお問い合わせください。