歯周病は世代問わず、多くの患者様が悩まれるトラブルです。
実際に治療をする場合はいくらかかるのか、また治療法や期間などを、重症度別に紹介していきます。
歯周病とはどんな病気?原因と対策について
よく見聞きする歯周病という言葉ですが、実際にどのような病気なのか知っていますか。
歯周病は世代問わず悩まされるため、決して珍しい病気ではありません。
実は自覚がないだけで、あなたも歯周病の症状が出ている可能性があります。
病気について正しく知識を身に付けることで、自分の口の中の状態と、正しく向き合えるでしょう。
まずは以下の解説を見て、歯周病がどのような病気なのかを知ることが大切です。
歯周病の原因は歯垢に潜む細菌
歯周病は炎症性疾患の代表として知られています。
一般的には歯茎が腫れてしまう症状が知られていますが、悪化してしまうとそれだけでは済まなくなってしまうため、治療が必要な病気です。
悪化した場合は歯茎や歯を支えている骨などが溶けてしまい、日常生活に大きな影響を与えます。
歯周病の原因は、歯垢に潜んでいる細菌です。
細菌には炎症を起こし、歯茎や骨などを溶かしてしまう力があります。
歯垢は通常ブラッシングで取り除くものですが、正しく清掃が行われていないと、口の中に細菌が蓄積してしまうのです。
その結果炎症が起き、症状が徐々に進行していきます。
酷いときは膿やぐらつきなどの症状が見られることも多く、最悪の場合は抜歯が必要です。
セルフチェックで早期発見しましょう
歯周病の初期は痛みがほとんどないため、自分で発見することが難しいイメージがあります。
しかし実際には、誰でも簡単にセルフチェックが可能なのです。
歯周病が考えられる症状はいくつかありますが、まずは下記をチェックしてみましょう。
1.口臭の自覚症状がある
2.起床時に口腔内のネバつきがある
3.ブラッシングをすると出血する
4.歯肉が腫れたり、下がったりしている
5.歯肉を押すと血や膿などが出る
6.歯の隙間に食べ物が詰まる
7.歯が浮いている、もしくは揺れている感覚がある
自覚症状の数が多いほど、歯周病が進行している可能性が高まります。
特に4-5個以上の症状に当てはまる場合は、中等度以上の進行が考えられるため、早めにクリニックを受診してください。
歯周病は予防も治療も可能!
セルフチェックを行って、自分の口腔内が心配になった方も多いのではないでしょうか。
しかし歯周病は予防・治療が可能な病気なので、一生治らないわけではありません。
しっかりクリニックで治療を行えば、健やかな歯肉や歯を維持できるでしょう。
歯周病は以前まで、治すことは難しい病気とされていました。
しかし近年では医療技術が発達し、進行を止める治療が可能となっています。
日頃のブラッシングも予防対策に有効ですが、本格的に治したい場合は、クリニックを受診しましょう。
歯周病の重症度別費用と期間を紹介
実際に歯周病治療をする場合、いくらかかるのかというのは非常に気になるポイントです。
高額な治療費を支払う余裕が無く、クリニックの受診を控えている方は少なくないでしょう。
今後の治療計画を立てていくためにも、いくらかかるのかは明確に知っておくべきポイントです。
以下では歯周病治療にかかる費用を、重症度別に紹介しているので、参考にしてみてください。
ステージ1.軽度の歯周病
軽度の場合、費用は4,000~6,000円前後となります。
この段階では、金銭的な負担は少ないと言えるでしょう。
治療期間は2か月以下で済むことがほとんどであり、通院も約2~3回が目安です。
軽度の場合は簡単なクリーニングを行うだけで、症状を抑えられる可能性があります。
また、進行しないよう対策するためにも、自宅でのブラッシングは必須です。
軽度だからといって、セルフケアが必要ないわけではありません。
症状の悪化を回避するためにも、早めの受診と毎日のブラッシングを怠らないように気を付けてください。
ステージ2.中等度の歯周病
歯茎の腫れや出血などが頻繁に起こる場合は、中等度と考えられます。
治療費は10,000~14,000円程度で、治療期間は4カ月から1年程度です。
歯周ポケットが深くなる、歯がグラグラするなどの症状が一般的です。
中等度になると、歯の根っこに歯石が蓄積しているケースが多いです。
治療を行っても症状が全く改善しないときは、外科治療が行われる場合もあります。
ステージ3.重度の歯周病
重度になると歯茎が柔らかくなり、血液だけではなく膿が出る場合もあります。
触るとブヨブヨするのが特徴的です。
また、強い口臭や歯の揺れなども見られます。
治療費は14,000~18,000円程度で、治療期間は1年~3年です。
重度になると通院回数も7~9回となり、何度もクリニックに通わなくてはなりません。
症状に応じて抜歯が必要になるため、負担を避けられないでしょう。
ステージ4.末期の歯周病
末期は歯の骨がほとんどない状態になり、歯を触るとぐらぐら動きます。
残っている歯が20本以下になっている場合は、末期の歯周病として考えられますが、このようになると抜歯後の治療が中心です。
費用や治療期間などは、患者様の状態にもよるため一概にはいえません。
通院回数が10回以上を超え、治療費もその分高くなる可能性があります。
末期になると完全に回復させるのが難しくなるため、この状態になる前に受診しましょう。
歯周病の治療方法:軽度〜中等度の場合
歯周病の治療はむし歯のように歯を削ることはありません。
主な治療はブラッシングやスケーリングによる歯垢の除去であり、症状が進行するたびに対処が難しくなります。
以下で、歯周病治療の詳しい流れを紹介します。 もし歯周病治療を考えている場合は、イメージしながらご覧ください。
ブラッシング指導
最初にブラッシング指導を行います。
ブラッシングは症状の進行を抑えるだけではなく、予防をするという意味でも重要です。
健やかで美しい歯を保つ秘訣なので、重症度問わず指導を行います。
生活習慣に正しいブラッシング方法を取り入れられるよう、丁寧にレクチャーします。
指導を受けると、磨き残しが少なくなるため、歯周病の原因菌を抑えられるでしょう。
スケーリング
歯周病治療のメインは、スケーリングです。
スケーリングとは、スケーラーと呼ばれる器具を用いて歯石や歯垢を除去する治療方法のことです。
歯石は歯垢が石灰化したものであり、歯石が原因で歯垢が付着しやすくなってしまいます。
また、歯石は歯に強く付着しているため、歯磨きでは除去が難しいです。
そのため、スケーリングによって、歯周病の原因である歯石や歯垢を除去する必要があります。
仮に毎日ブラッシングしていたとしても、歯石の付着は避けられません。
時間が経過するほど、歯石は蓄積していくもののため、定期的なスケーリングで予防することが重要です。
歯石が取り除かれると、表面がつるつるになり、見た目もキレイになります。
スケーリングとルートプレーニング
この治療方法は、中等度以上の患者様に行うことがほとんどです。
これは、上述したスケーリングに、ルートプレーニングもプラスした治療方法です。
ルートプレーニングとは、スケーリングで歯石だけでなく、歯垢に汚染された歯のセメント質も除去する施術を指します。
汚れを取ると歯肉が歯の根に付着しやすくなったり、歯石が付着しにくくなったりなどのメリットを得られます。
痛みが出やすい治療方法ではありますが、保険診療のため費用が高額になる心配はありません。
歯周病の治療方法:重度〜末期の場合
歯周病は進行すればするほど、治療が難しくなります。
通院回数が増える、治療費が高くなるなどのデメリットもあるため、自覚がある場合は早めの受診がおすすめです。
重度もしくは末期の場合は、下記の治療が必要となります。
重度の歯周病は歯周外科治療が必要
重度の場合は、外科治療が用いられるケースがほとんどです。
上述した治療法では改善が見られないことが多く、より本格的な外科治療を行うことで、症状の改善が期待できます。
重度になると歯の根っこをキレイにするために、歯肉を切開する必要があります。
手術の際には麻酔が使用されるため、強い痛みを感じる心配はありません。
歯肉剥離掻爬術(FOP)
感染した組織を十分に除去できない場合は、歯茎を切って直接感染部位を取り除く手術を行います。
この状態になると、歯茎を切除するケースも少なくありません。
スケーリング・ルートプレーニングによる治療法とは違い、隅々まで目視チェックしながら処置を行えるという利点があります。
ただし、歯茎の切除によって、歯が長く見えやすいのが難点です。
遊離歯肉移植術(FGG)
その名の通り、歯茎が下がった箇所に対して、歯肉を移植する手術のことを言います。
歯周病の悪化を改善するのはもちろん、見た目もキレイになるのが特徴です。
移植によって歯肉が細菌に対して、十分な抵抗力を保てるようになります。
しかも歯周病治療において気になりがちな、見た目も大きく改善するため、美意識が高い方におすすめです。
完全に元通りになるわけではない、自由診療のため費用が高額になりがちというのがマイナスポイントでしょう。
歯周組織再生療法(エムドゲイン ・GTR法)
歯槽骨の再生を促進させて、健やかな状態へ導く再生療法です。
近年再生療法は、歯科治療以外の分野でも注目されており、現在も発展を遂げています。
再生療法によって完全に元に戻ることは無いですが、解けた部分の骨が改善することもあります。
こちらも自由診療のため、費用負担が比較的大きいです。
結合組織移植術(CTG)
歯肉が足りていない場合、上顎の裏から歯肉を持ってきて、直接移植することがあります。
ボリューム感がしっかり演出できるため、健やかな見た目になる方法です。
歯肉が部分的に足りない状態の場合は、結合組織移植術を受けられます。
上述した遊離歯肉移植術よりも、ナチュラルでキレイな見た目になるため好評です。
しかも移植することによって、組織に生着しやすいという利点もあります。
歯周病を予防するために
歯周病を悪化させないためには、日頃から予防をしっかり行っておくことが大切です。
予防をせずに放置していると、若い方でも中等度~重度の状態になる可能性もあるため、日頃から予防に対して意識を高く持つことをおすすめします。
予防といっても、決して難しい知識やテクニックなどは必要ありません。
どなたでも少しの心がけをするだけで、歯周病を予防できるのです。
以下では予防のポイントを解説しています。
いつまでも健やかな口腔状態になれるよう、ポイントをおさえておきましょう。
正しい歯磨きを覚える
正しい歯磨きができていないと、歯周病の原因となる汚れが蓄積されていき、菌が繁殖していきます。
自分では適切な方法で歯磨きができていると思っていても、実は磨き残しがあるというケースは非常に多いものです。
まずはクリニックでブラッシングの指導を受けて、正しく行えているかを確認しましょう。
ブラッシングを万遍なく行えれば、歯周病が進行しにくくなります。
もちろんむし歯も予防できるので、食後は欠かさず行うことを徹底してください。
ブラッシングをサボりがちという方は、特に注意が必要です。
生活習慣を整える
生活習慣と歯周病には、大きな関係性があります。
生活習慣が乱れていると、免疫力が低下してしまい、細菌による影響を受けやすくなるのです。
歯周病予防のためにはブラッシングをしていれば良いと思われがちですが、実はそうではありません。
仕事や育児などのストレスが蓄積していたり、喫煙・飲酒の習慣があったりなど、免疫力が低下する原因に心当たりはありませんか。
もし何か心当たりがある場合は、免疫力を向上させる生活習慣を意識しましょう。
たとえば栄養をしっかり摂取する、睡眠を取って休むなどの心がけで、免疫力はアップします。
喫煙・飲酒はできる限り控え、身体に負担を与えないようにしましょう。
歯周病は防ぐことが肝心
歯周病は治療が難しい病気とされていましたが、現在の医療技術なら治療は可能です。
また、日頃から予防対策をしていれば、症状の進行を抑えることもできるでしょう。
この記事で紹介した予防法を参考に、毎日のメンテナンスを意識してみてください。
上述した生活習慣の改善もおすすめです。
万が一歯周病の自覚症状がある場合は、早めにクリニックを受診してください。
悪化すると手術や抜歯などが必要になってしまうため、早めに治療へ取り掛かる必要があります。
当院は歯周病に関する相談も受け付けているので、いつでもお気軽に受診ください。