インプラントは、入れ歯やブリッジなどとはさまざまな違いがあることから、「やめたほうがいいだろうか?」と不安に感じる方もいます。
あるいは、やめたほうがいいという言葉をどこかで聞いて、不安を覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、インプラントはやめたほうがいいといわれる理由や、不安を解消するためにできることなどについて、詳しく解説します。
インプラントとそのメリットとは?
インプラントは、失われた歯を人工歯根と人工歯で補う方法です。
金属製の人工歯根を顎骨に直接埋め込み、その上にセラミックや金属などを使った人工歯を被せます。
特に大きなメリットは、顎骨に埋め込むことから、入れ歯やブリッジより固定力が高くよく噛めることです。
また、人工歯は天然歯に近づけることができるため、見た目も自然に仕上がります。
他にも、耐久性が高く長期間使える、健康な顎骨を維持しやすくなる、周囲の健康な歯に影響を与えないなど、多くのメリットがあります。
インプラントはやめたほうがいいといわれる理由
多くのメリットがあるインプラントですが、「やめたほうがいい」といわれることも、不安を感じることもあるはずです。
ここでは、インプラントをやめたほうがいいといわれる主な理由について確認しましょう。
1.手術をおこなう必要がある
インプラント治療は、詰め物や被せ物と違い、人工歯根を埋め込む手術をおこないます。
手術中は麻酔の使用により痛みを抑えられますが、感染症(偶発症)や、術後の腫れや痛みなどのリスクが伴います。
また、顎周辺の神経や血管などを、傷つけるリスクもあるでしょう。
手術が怖い方や苦手な方は、やめたほうがいいと感じるかもしれません。
手術の安全性は歯科医院によって変化してしまうため、初めての歯科医院で受ける場合は、不安が大きく感じられることがあります。
2.自費診療で高額になることがある
インプラント治療は、基本的に保険が適用されない自費診療です。
全額自己負担のため、治療費が高額になることがあります。
大掛かりな手術ではないものの、手術費用だけでなく、人工歯根や人工歯の材料費、検査費用などが含まれます。
1本55万円のように、予想以上の負担となることがあるため、やめたほうがいいと考える方も多いのではないでしょうか。
特に複数のインプラントが必要な場合は、その費用をしっかりと見積もることが大切です。
3.治療期間が長め
インプラントは、治療が完了するまでに少なくとも数ヶ月を要します。
手術が2回に分かれており、2回目の手術は、人工歯根と顎骨が結合するのを待つ必要があるためです。
その間は仮歯を使えますが、人によっては1年近くかかることもあり、不便に感じてしまうかもしれません。
継続的な治療や通院が難しい場合は、他の治療方法を検討することも一つの選択肢です。
4.顎骨が薄いと治療ができない
インプラントは、顎骨を利用して人工歯根を固定する治療法です。
土台となる顎骨に十分な厚みがないと、治療をおこなえず、断られることがあります。
顎骨が薄くても、骨造成治療で厚くできる場合もあるため、断られるかどうかは人によりけりです。
しかし、骨造成治療が可能でも、追加で費用がかかることや、治療期間が延びてしまいがちといったデメリットがあります。
そのため、インプラントが可能でも、やめたほうがいいと思ってしまうかもしれません。
5.むし歯や歯周病がある方はその治療が優先
インプラントは、失った歯を補うためにおこなう治療です。
中には全ての歯を失ってしまった方も、まだ天然歯が残っているという方もいます。
残っている天然歯にむし歯や歯周病があると、インプラントを受けられません。
手術の際に感染症を引き起こすことがあるため、感染症が顎骨にまで達すると、人工歯根と顎骨の結合の妨げになってしまいます。
最悪の場合は、せっかく埋め込んだインプラントが抜け落ちてしまうこともあるのです。
その治療が優先となり、インプラントまでが長いことも、ハードルが高く感じられる理由の一つです。
6.全身疾患や持病がある方は要注意
全身疾患や持病を抱える方は、インプラントを受けられないことがあります。
例えば、糖尿病や骨粗鬆症などの全身疾患は、インプラントの治療結果に影響を及ぼす可能性があるためです。
糖尿病は顎骨と人工歯根が結合しづらく、骨粗鬆症の場合は骨の密度が足りず、インプラントができないことが多いです。
高血圧やその他持病についても、服用している薬との兼ね合いがあります。
かかりつけ医との相談結果によっては、インプラントはやめたほうがいいといわれることがあるかもしれません。
7.強く噛んでしまわないか心配
インプラントは、天然歯と同様に使えるよう、丈夫な素材で作られています。
過度に強く噛もうとしたり、強く歯ぎしりしたりするようなクセがなければ安心です。
しかし、天然歯の周囲にあった「歯根膜」が、インプラントの場合はありません。
歯根膜は顎骨と歯根をつなぐ薄い膜で、顎にかかる力を分散するクッションの役割を果たしているものです。
最初の内は歯根膜のない噛み心地に戸惑うかもしれず、どのくらいなら噛んで良いのかと、不安になるかもしれません。
8.口臭がきつくなるリスクがある
インプラントは、天然歯と同様に日常的な口腔ケアが必要です。
放置していると、インプラント周囲に細菌が繁殖し、口臭の原因となることがあります。
インプラントをおこなった箇所は、歯周ポケットが深くなることもあり、歯周ポケットに汚れが溜まると細菌が繁殖してしまいます。
日頃の口腔ケアが面倒な方にとっては、やめたほうがいいように思えるかもしれません。
9.金属アレルギーの不安がある
インプラントには、チタンのように人体と相性が良い金属が使用されます。
チタンは骨と結合する性質があり、医療目的に使われるチタンは純度が高く、金属アレルギーの不安が少なくなります。
しかし、金属アレルギーになる可能性がゼロではなく、その点に不安を感じる方もいるようです。
10.定期的な検診が不可欠
インプラントをおこなった後も、定期的な検診とメンテナンスが欠かせません。
人工歯根や人工歯はむし歯にはならないものの、細菌感染によるインプラント周囲炎のようなリスクはあります。
インプラントの周辺組織に炎症が発生するもので、初期症状には気付きにくいという特徴があります。
最悪の場合は人工歯根が抜け落ちてしまうため、天然歯があるときと同様に、定期的に検診を受ける必要があるでしょう。
11.再びインプラントをおこなうことは難しい
人工歯根が抜け落ちてしまう要因には、インプラント手術の失敗、人工歯根が顎骨と結合しなかった、インプラント周囲炎などがあります。
これらが起きた場合には、顎骨や健康状態にもよりますが、再度インプラントをおこなえないことがあります。
「インプラントでまた噛めるようになったのに……」と落胆することをおそれて、やめたほうがいいと考える方もいらっしゃるでしょう。
12.ヘビースモーカーや子供も受けられない?
ヘビースモーカーの方は、口腔内に問題がなければ、インプラントそのものは可能です。
しかし、喫煙により酸素供給が妨げられることから、人工歯根と顎骨が結合しにくいという問題があります。
場合によっては人工歯根が抜け落ちることが考えられるため、あまりおすすめできません。
子供の場合も、インプラント自体は可能ですが、向いていません。
成長途中の子供は、顎の成長によってインプラントの位置がずれて、噛み合わせが合わなくなる可能性があるためです。
インプラントは、基本的には成長を終えた成人を対象としています。
インプラントの不安を解消するために必要なこと
上記のような理由から、インプラントはやめたほうがいいと考える方は少なからずいます。
では、どのような行動を起こせば、不安を解消してインプラントに臨めるでしょうか。
特に大切なのは歯科医院選び
不安を解消する上で、特に大切なのは歯科医院選びです。
インプラント手術を成功させるには、歯科用CTがある歯科医院でなければなりません。
歯科用CTがあれば、レントゲン写真と異なり、立体的に撮影できます。
そのため、顎骨の厚みを正確に確認し、神経や血管を傷つけない埋め込み方法などを検討できます。
また、感染症防止に徹底した衛生管理をおこなえるのも、正確に人工歯根を埋め込むのも、歯科医師の知識や技術あってこそ可能です。
顎骨が薄い場合は厚くする骨造成ができるか、何かトラブルがあった際の対応はどうかなど、歯科医院選びで、多くの不安の解消につなげることができます。
メリットとデメリットを比較する
どのような治療方法でも、メリットとデメリットは存在します。
例えば、失った歯を補う方法には、入れ歯とブリッジがあります。
入れ歯は安価というメリットがあるものの、固定する力が強くないため、あまり噛む力を発揮できず、噛み心地も相応のものになるでしょう。
ブリッジは他の歯を支えにするため、固定する力は多少ありますが、健康な歯を削ってしまうというデメリットがあります。
インプラントと他の治療方法のメリットとデメリットを比較すると、自分に必要な治療かどうかが見えてきます。
カウンセリングで疑問を解消する
治療に関する疑問があれば、カウンセリングの際に解消しましょう。
どのような治療計画が立てられるのか、費用はいくらなのか、どのような頻度で検診に訪れれば良いかなど、多くのことをカウンセリングで答えてくれます。
インプラントの脱落を防ぐために日常生活で気を付けるべきことを教えてくれる他、疾患の有無などの確認もおこなってくれるため、安心してインプラントに臨めるでしょう。
インプラントはどうしたらいい?判断方法
インプラントを受けるべきか、やめたほうがいいか迷っている方向けに、判断方法をご紹介します。
受けるのがおすすめの方
インプラントを受けるのがおすすめなのは、下記の3つに当てはまる方です。
インプラントで希望が叶えられる方
インプラントは、失った歯の機能を補ってくれます。
しっかり噛める他、自然に近い見た目を取り戻してくれるものです。
しっかり噛めずに食事が楽しくなくなった方、自然な笑顔ができずに自信を失ってしまった方など、インプラントで希望を叶えられるのであれば、選んでも損はないはずです。
毎日の口腔ケアができる方
インプラントは、毎日の口腔ケアができる方にも向いています。
長期間にわたって使うためにも、インプラントは普通の歯と同じかそれ以上のケアを必要とするためです。
逆に、むし歯にならないからと、ケアを怠ってしまいそうな方には向いていないものだといえるでしょう。
タバコを吸わない方、禁煙ができる方
これまで喫煙をしてきた方であれば、禁煙できるかどうかも大切です。
喫煙は、インプラントの脱落や、インプラント周囲炎などを引き起こす可能性があるためです。
インプラントの寿命を延ばし、成功率を高めるためにも、禁煙ができることが望ましいといえるでしょう。
やめたほうがいい方
インプラントをやめたほうがいいのは、下記の3ついずれかに当てはまる方です。
定期検診に通えない方
インプラントの状態を維持するためには、定期検診が欠かせません。
埋め込んだインプラントだけでなく、その周囲の歯の健康を確認し、問題があれば早期に対処することが重要です。
忙しい方や遠方に住んでいる方など、定期的な通院が難しい場合には、向いていないといえます。
どうしても手術が怖い・不安な方
インプラントは、歯茎や顎骨に対して外科手術をおこないます。
そのため、手術に対して過度な恐怖や不安を抱える方にとっては、精神的な負担が大きい場合があります。
手術に関する不安がストレスとなることもあるため、不安が強い方は他の方法を考えたほうがいいかもしれません。
費用が気になる方・抑えたい方
インプラント治療は、自費診療となることが一般的です。
歯科治療の中でも比較的高額な部類に入るため、費用が気になる方・抑えたい方にとっては負担が大きいでしょう。
どうしても費用が気になる方、費用を抑えたい方は、他の方法を検討してみましょう。
インプラントはティコニーデンタルオフィスにご相談ください
この記事では、インプラントがやめたほうがいいといわれる理由や、不安を解消するためにできることなどについて解説しました。
インプラントはやめたほうがいいといわれることもありますが、メリットの多い手術のため、検討の余地があるでしょう。
そもそも、インプラントをしたいと思っても、顎骨に十分な厚さがあるか、体質的に可能かなどは、検査を受けてみないことにはわかりません。
上記の「やめたほうがいい方」に当てはまらないなら、カウンセリングや検査の結果次第で決めても遅くはないでしょう。
インプラントをするか迷っている方は、ぜひ一度ティコニーデンタルオフィスにご相談ください。