歯を完全に失った場合に有効なのが、「インプラント」です。

インプラントと一口に言っても、実は治療方法がいくつか存在していて、その中でも注目されているのが「オールオン4」です。

一般的な治療方法とは、どのような点が異なるのでしょうか。

また、選択することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。

今回は、オールオン4の特徴について解説します。

メリットやデメリット、費用の目安や治療の流れもご紹介しますので、興味があるという方はぜひ参考にしてください。

 

 

顎の骨を土台にして人工歯を固定するため、美しい見た目と快適な噛み心地を実現できるという点が、インプラントの魅力です。

しかし、失った歯の数が多くなると土台の埋入数が多くなり、身体的にも経済的にも患者様に大きな負担がかかります。

そこで注目されているのが、「オールオン4（All-on-4）」です。

前歯から奥歯まで一体になっているタイプのインプラントで、4箇所の土台で全ての歯を支えることができます。

人によって4箇所以上の埋入が必要となるケースもありますが、個別に土台を埋入するよりも患者様への負担が少なく済みます。

インプラントはハードルが高いと感じていた方でも、挑戦しやすいといえるでしょう。

インプラントの治療でオールオン4を選択すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

具体的なメリットをいくつかご紹介します。

治療費を抑えられる

埋入する土台（インプラント）の本数が少ないため、オールオン4を選択することで費用を抑えられるというメリットがあります。

歯科医院によって設定されている治療費は異なりますが、1本ずつ個別に土台を埋入するケースと比較すると、オールオン4の方が費用を節約できるという点は、どの歯科医院にも共通している傾向です。

インプラントに興味があるけれど、費用の高さで二の足を踏んでいるという方におすすめです。

身体への負担を軽減できる

土台を顎の骨に埋入するインプラントの治療では、外科手術が必要となります。

1本ずつ個別に埋入するとなると、土台の数だけ顎の骨に穴を空ける必要があるため、身体へ大きな負担がかかることになります。

オールオン4は4～6本程度の土台で全ての歯を支えることができるので、身体への負担を軽減できるでしょう。

体力に自信がないという方でも、インプラントの治療を受けられる可能性が大きくなります。

治療期間が短く済む

一般的なインプラントの治療では、顎の骨に穴を空けてインプラントを設置した後に、切開した歯茎を縫合する必要があります。

さらに仮歯を装着するまでには、およそ2週間程度の時間がかかります。

しかし、インプラントの設置から仮歯の装着までの処置を、オールオン4ではわずか1日で済ませることが可能です。

治療期間が短く済むため、通院回数が減り、治療による身体への負担を軽減することにも繋がるでしょう。

顎の骨が薄くても治療が受けられる

基本的にインプラントの治療では、顎の骨が薄い場合、土台を支えることが難しいため治療自体を行うことができません。

顎の骨が薄い方に関しては、初めに骨造成のような骨に厚みを持たせる外科手術を行う必要があります。

しかし、オールオン4の場合は骨のある部分を選んで土台を埋入することができるため、顎の骨が薄い方でもインプラントを適用できる可能性があります。

インプラントの治療は難しいといわれた、骨造成は極力避けたいという方は、オールオン4を検討しましょう。

どのような歯科治療にもデメリットも存在します。

治療を受けてから後悔することがないように、事前にデメリットについても把握しておきましょう。

残っている歯を抜歯する可能性がある

一般的なインプラントとは異なり、オールオン4では、連なった義歯をまとめて固定します。

そのため、邪魔となってしまう歯は、健康な状態であっても抜歯しなければなりません。

残っている歯がむし歯や歯周病を発症している場合は問題ありませんが、健康な状態にある天然歯を抜歯するという点には、抵抗を感じる方もいるでしょう。

天然歯は一度抜いてしまうと元には戻らないため、抜歯の必要があるという点はよく理解しておく必要があります。

健康保険が適用されない

審美性を重視して行われるインプラントの治療では、健康保険が適用されません。

オールオン4も例外ではなく、健康保険が適用されないため、治療にかかる費用は全て自己負担となります。

一般的なインプラントに比べると費用が安価に済むとはいえ、オールオン4の場合でも片顎につき数百万円程度の費用がかかるので、無理のない支払いができるか事前に確認しておきましょう。

治療を受けられないケースがある

外科手術を必要とするインプラントは、患者様に問題があると治療を行えない可能性があります。

以下にあてはまる方は適用外となるので、オールオン4を希望する方はチェックしてみましょう。

骨が成長しきっていない未成年者は、治療を受けることができません。

また、外科手術が危険であると判断される全身疾患をお持ちの方や、術後の経過が懸念される喫煙者・アルコール依存症の方も治療が行えません。

自身が治療を受けられるかわからないという方は、歯科医院へご相談ください。

メリットとデメリットを比較してみたものの、自身がオールオン4に向いているかわからないという方もいるでしょう。

以下の条件に当てはまるか、チェックしてみてください。

入れ歯やブリッジと仕組みが似ていますが、審美性や機能性は大きく異なります。

現在使用している入れ歯やブリッジに満足していないという方は、オールオン4を検討しましょう。

せっかく治療を受けるなら、少しでも長持ちしてほしいものです。

オールオン4は、どの程度持つのでしょうか。

また、どの程度の費用がかかるのでしょうか。目安をご紹介します。

寿命の目安

人によって異なりますが、基本的にオールオン4の寿命は「10年以上」だといわれています。

一般的なインプラントの寿命と変わらず、残存率が高いという点が魅力です。

実際に治療を受けた方のおよそ90%以上が、10年を経過してもインプラントを失っていないという結果が出ています。

適切にケアやメンテナンスを行えば、20年以上持つことも珍しくありませんが、大切に扱わなければ10年持たない可能性もあります。

オールオン4を少しでも長持ちさせたいという方は、治療が終わった後にも、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けましょう。

参考文献：経過例からインプラント治療の長期寿命を検証する 

治療費の目安

片顎あたり数百万円程度が、平均的なオールオン4の費用相場です。

一般的なインプラント1本あたりの費用は数十万円程度であり、片顎あたり数百万円程度が相場となります。

歯科医院によって設定されている治療費は異なりますが、インプラントを1本ずつ埋入した場合と比較すると、オールオン4の方が費用を抑えることができます。

費用を節約することも大切ですが、歯科医院を選ぶ際には、信頼できる歯科医師を探してください。

最後に、治療の流れをご紹介します。

スムーズに治療へ臨めるように、全体の流れを把握しておきましょう。

①カウンセリング・術前検査

患者様にオールオン4が適用できるか確認するために、まずはカウンセリングや術前検査を行う必要があります。

術前検査の内容は、以下の通りです。

検査の結果によって、治療が行えるか否かが判断されます。

また、治療が行えると判断された場合は、最適な治療方法を決定します。

②手術・仮歯の装着

カウンセリングや術前検査が終わったら、治療計画に従ってインプラント埋入のために外科手術が行われます。

手術では局所麻酔、もしくは静脈内麻酔が行われるため、患者様が痛みや苦痛を感じるようなことはないでしょう。

必要であれば麻酔後に抜歯が行われ、インプラントを埋入します。

手術後には一時的に休憩を取り、出血が治まり次第、仮歯が装着されます。

患者様の状態によって、翌日以降に仮歯の装着を行うこともあるでしょう。

インプラントの埋入から仮歯の装着まで終われば、手術は完了です。

③義歯の装着

手術後の経過観察期間を経て、3～6ヵ月後に義歯を装着します。

インプラントと顎の骨が結合できているか、噛み合わせに問題がないか、最終的なチェックが行われてから装着を行います。

義歯の装着までには経過観察が必要なので、問題がなくとも月に1回は通院しましょう。

定期検診を怠ると、トラブルが発生しても気付くことができません。

また、治療計画に遅れが出て治療期間が延びてしまうので、忘れずに通院してください。

④定期検診・メンテナンス

オールオン4の手術が終わった後にも、定期検診やメンテナンスのために通院する必要があります。

インプラント周囲炎が発生していないか、インプラント自体に問題が起こっていないか、長持ちさせるために必要なチェックが行われるので、忘れずに通院しましょう。

定期検診では、主に以下のメンテナンスや検査が行われます。

 

身体への負担を軽減できるのが、「オールオン4」です。

インプラントに興味があるけれどハードルが高いと感じているという方は、オールオン4を選択肢に入れましょう。

インプラントを希望する方は、ティコニーデンタルオフィスへお任せください。

当院では日本口腔インプラント学会の専修医である院長が、患者様に最適な治療方法をご提案します。

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