失った歯の審美性や機能性を取り戻すのに有効なインプラントですが、「MRI検査が受けられなくなる」という噂があります。

インプラントを入れると、本当に検査が受けられなくなるのでしょうか。

今回は、インプラント治療を受けた後のMRI検査への影響について解説します。

検査が受けられなくなるといわれる理由や、病院で断られた場合の対処方法もご紹介しますので、ぜひご一読ください。

 

 

そもそもMRIとは、どのような検査を指すのでしょうか。 特徴や検査が受けられなくなるといわれる理由について解説します。

MRI検査の特徴

特殊な装置で磁場を発生させることで、体の断面図を撮影する方法を「MRI（Magnetic Resonance Imaging）検査」といいます。

MRI検査では、患者様が仰向けになった状態で筒状の装置に入り、撮影が行われます。

強力な磁石と電波によって磁場を発生させ、患者様の体に照射することで、内臓や脊髄、脳や血管、乳房などの状態を撮影できるという仕組みです。

暗いトンネルのような装置に入る必要があるため、暗所恐怖症や閉所恐怖症の方はストレスを感じる可能性があります。

しかし、一般的なレントゲン検査とは異なり、放射線被ばくの心配がないという点はメリットだといえるでしょう。

MRI検査が受けられなくなるといわれる理由

医療用の器材を人体に埋め込む治療を、総じて「インプラント」といいます。

大きく分けると2種類存在し、歯科医院で入れるものを「デンタル（歯科用）インプラント」、病院で入れるものを「医療用インプラント」といいます。

主な医療用インプラントの種類は、以下の通りです。

金属が使用されている上記の医療用インプラントが体内にあると、MRI検査は受けられません。

強力な磁場を発生させて体の断面図を撮影するため、体内に金属がある状態で検査を行うと、磁石に吸い寄せられてしまうからです。

「MRI検査が受けられなくなる」という噂は、医療用インプラントを指していると考えられるでしょう。

金属が採用されている医療用インプラントを体に埋め込んでいる状態では、MRI検査を受けることができません。

しかし、デンタル（歯科用）インプラントは例外です。

歯科医院で行われている治療では、「チタン」や「チタン合金」が採用されています。

チタンは磁力をほとんど持たない金属であるため、磁石に吸い寄せられる心配はありません。

強力な磁場を発生させる装置に近付いても、問題が起こる可能性は低いといえるでしょう。

しかし、歯科医院で取り扱っている金属が、必ずしもチタンだとは限りません。

採用されている金属の種類がわからないという方は、インプラントがチタン製であるか、事前に歯科医院へよく確認しておいてください。

歯科用のインプラントであれば、治療後にもMRI検査を受けることが可能です。

しかし、条件によっては、検査を断られてしまう可能性があります。

検査を受けられないのは、どのような条件にあてはまる方なのでしょうか。

詳しく解説します。

インプラントオーバーデンチャーを使用している

検査を受けられない条件としてまず挙げられるのが、残存している歯やインプラントに被せる入れ歯（オーバーデンチャー）を使用している場合です。

オーバーデンチャーでは、入れ歯を支えるために磁石が採用されていることがあります。

そのため、MRI検査を受けると、装置に吸い寄せられて故障を招く可能性があるのです。

磁石を使用しないタイプのオーバーデンチャーも存在するので、将来的に検査が受けられなくなると困るという方は、歯科医院へ希望を伝えてください。

医療用インプラントを使用している

上述した通り、医療用インプラントには金属が含まれるため、体内に埋入した状態ではMRI検査を受けられない可能性が高いといえます。

基本的に歯科領域以外で治療を受けた場合は、検査が受けられなくなると考えて良いでしょう。

ただし、デンタルインプラントと同様に、採用されている金属の種類によっては検査を受けられるケースもあります。

治療を受ける際には、磁気の強い金属が使用されるか確認しておくと良いでしょう。

自身の体内にある医療用インプラントの素材がわからないという方は、治療を受けた病院や主治医へ確認してください。

誤って磁気の強い金属が採用されているインプラントが体内にある状態でMRI検査を受けると、どのようなリスクが想定されるのでしょうか。

検査に与える影響について解説します。

金属部分に発熱が起こる

医療用インプラントを体内に埋入した状態でMRI検査を受けると、素材である金属部分に熱が発生します。

デンタルインプラントであっても、チタン以外の金属が採用されている場合は、金属部分が発熱して火傷を負う可能性があります。

口腔内で発熱が起こるだけでも問題ですが、心臓ペースメーカーや人工関節で発熱が起こると命に危険が及ぶことになるので、十分に注意しましょう。

インプラント以外にも、検査を受ける際に金属製のアクセサリーを身に着けていたり、金属が含まれている化粧品を使用していたりすると、発熱が起こります。

病院側から注意があるはずですが、検査を受ける際には、身に着けている金属製品は全て取り外してください。

MRI画像に問題が生じる

磁気の強い金属が採用されているインプラントを体内に入れたままMRI検査を受けると、正確な結果が得られないという問題もあります。

検査結果の画像にノイズが走ったり、画質が低下して詳細を確認できなかったりする可能性があるのです。

検査で正確な結果を得るためにも、磁力が一定である必要があります。

体内に磁気があると、撮影した画像に乱れが生じたり、歪んだりして、検査結果が台無しになってしまいます。

発熱による火傷を避けるためにも、検査を受ける前に医師とよく確認しておきましょう。

デンタルインプラントへの理解が足りていないと、病院側から検査を断られてしまうことがあります。

断られた場合は、どのような方法で対処すれば良いのでしょうか。

具体的な対処方法をいくつかご紹介します。

①一時的に上部構造のみを外す

MRI検査を断られた場合は、一時的に金属が含まれる上部構造を外すという方法で対処できます。

顎の骨に埋入されている土台がチタン製であれば、金属が含まれる上部構造（人工歯）を外すことで検査を受けられます。

上部構造はネジのようなもので固定されているため、一時的に外したとしても、検査後にはすぐに再装着が可能です。

磁石を使用していないオーバーデンチャーでも同様の方法で対処できるので、歯科医院へご相談ください。

②チタン製であることを伝える

デンタルインプラントで使用した金属の種類を把握している場合は、病院側に「チタン製」であることを伝えましょう。

口腔内にインプラントがあるという情報だけでは、検査を断られてしまう可能性があります。

MRI検査の担当者であれば、チタンなら問題ないと判断してもらえるはずなので、諦めずに説明を試みてください。

③担当の歯科医師へ相談する

デンタルインプラントで使用されている金属の種類がわからない場合は、歯科医院へ確認しましょう。

採用されている金属がチタンであれば、問題なくMRI検査を受けることができます。

病院側に理解がない場合は、歯科医院が間に入って安全に検査を受けられると説明してもらえるはずです。

仮に検査が受けられないと判明しても、上部構造を外すといった他の方法を提案してもらえる可能性が高いので、まずはかかりつけの歯科医院へご相談ください。

基本的に歯科用のデンタルインプラントであれば、問題なくMRI検査を受けることが可能です。

病院で検査を断られたという方は、上記でご紹介した対処方法を試してみましょう。

インプラントの治療を希望する方は、ティコニーデンタルオフィスへご相談ください。

当院では日本口腔インプラント学会認定の専修医である院長が、患者様に最適な治療方法をご提案します。

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