顎の骨に金属製の土台を埋入し、人工歯を取り付ける治療方法を「インプラント」といいます。
失った歯の審美性や機能性を補う方法としてインプラントが注目されていますが、費用が高額であることから、治療をためらっているという方もいるでしょう。
インプラントは歯1本あたり30~40万円と高額ですが、実は「医療費控除」の対象です。
今回は、歯科治療で医療費控除を申請する条件について解説します。
手続きの方法や控除額の計算方法、申請の際の注意点もご紹介しますので、ぜひご一読ください。
医療費控除とは?
1月から12月までの1年間に支払った医療費が10万円(その年の総所得が200万円未満である場合は、総所得のうち5%)を超えた場合に、医療費の一部が戻ってくる制度を「医療費控除」といいます。
医療費控除を利用するには、会社員であっても別途確定申告が必要となりますが、インプラントをはじめとした自由診療も対象となるため、治療費が高額になったときにはぜひ利用したい制度です。
治療の目的や内容によっては対象外となるケースもあるので、申請を希望しているという方は、治療を受ける前に対象となる条件をよく確認しておきましょう。
自身が受けた治療が医療費控除の対象となるかわからないという方は、歯科医院へ直接確認してください。
参考:国税庁「医療費控除の対象となる医療費」
医療費控除の申請条件
インプラントに限らず、他の歯科治療でも医療費控除を申請できる可能性がありますが、一定の条件が設けられています。
医療費控除の申請を検討している方は、対象となるケースと対象とならないケースの両方を把握しておきましょう。
対象となるケース
医療費控除では、自身、または自身と生計を共にする配偶者や親族のために支払った治療費も対象となります。
歯科治療で医療費控除の対象となる主なケースは、以下の通りです。
- ・歯科医院での治療費(保険適用外を含む)
- ・定期検診費用(むし歯のようなトラブルが見つかった場合)
- ・入れ歯・差し歯・銀歯などの作製費用
- ・治療としての歯列矯正費用(審美目的は除く)
- ・親知らずの抜歯費用
- ・歯科医師の処方箋をもとに購入した医薬品の費用
健康を維持するために必要な治療を受けた場合は、医療費控除の対象となる可能性が高いです。
医療費控除の上限額は200万円であることから、複数本の歯をインプラントにした場合も申請が行えます。
対象とならないケース
基本的に医療費控除の対象となるのは、必要に迫られて行う治療に限られます。
審美目的で行われる治療(見た目を改善するために行われる治療)や予防目的で行われる治療は、対象とならないケースがあります。
歯科治療で医療費控除の対象外となる主なケースは、以下の通りです。
- ・むし歯や歯周病などの予防目的で行う歯科検診・クリーニングの費用
- ・美容目的で行われる歯列矯正費用
- ・美容目的で行われるインプラント費用
- ・ホワイトニング費用
インプラントは医療費控除の対象となるとご紹介しましたが、健康な歯を審美目的でインプラントにする場合は対象外となります。
同じ治療内容でも、目的によって対象外となる可能性があるという点には注意が必要です。
医療費控除の申請方法
医療費控除を申請するためには、準備しておかなければならないものがあります。
申請の際に必要となるものや手続きの方法、期限をご紹介します。
①申請に必要なもの
インプラントで医療費控除を申請するためには、会社員であっても別途「確定申告」を行う必要があります。
医療費控除申請のために確定申告で必要となるものは、以下の通りです。
- ・確定申告書(国税庁の公式ホームページで作成可能)
- ・治療費の領収書
- ・医療費控除の明細書(国税庁の公式ホームページよりダウンロード可能)
- ・医療費のお知らせ(医療費通知)
- ・通院のために使用した公共交通機関の領収書
- ・保険金などの補填された金額の確認書類
- ・マイナンバーカード(ない場合は「通知カード」、もしくは身分証明書と住民票を用意)
- ・還付金の振込口座(申告者名義であること)
- ・印鑑
- ・源泉徴収票(給与所得者のみ)
申請をスムーズに完結させるためにも、確定申告を行う前に全て揃えておきましょう。
②手続きの方法
医療費控除の申請手続きは、3つの方法から選択できます。
- ・自身で書類を作成し、税務署に持参、もしくは郵送する
- ・必要なものを揃えて、税務署で書類を作成する
- ・国税電子申告・納税システム「e-Tax」を利用して、インターネットで申告する(マイナンバーカードが必要)
国税庁が運営するWEBサイトの「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、自動的に税額を計算することができます。
内容をそのままプリントアウトすれば書類が完成するので、初めて医療費控除の申請を行うという方は利用してみてください。
国税庁「国税庁 確定申告書等作成コーナー」
③申請期限
医療費控除の申請期限は確定申告と同じで、翌年の3月15日です。
ただし、医療費控除には5年間の猶予期間が設けられています。
5年後の12月31日までに申請を行えば控除を受けられるので、高額な医療費を支払ったものの確定申告を忘れてしまったという方は、さかのぼって申告を行ってください。
医療費控除のみを申請する「還付申告」の場合は、確定申告の期間にかかわらず、1年中申請することが可能です。
医療費控除の計算方法
治療費の負担を軽減できるのが医療費控除の魅力ですが、実は申請を行うことで住民税も減税されます。
医療費控除や還付金、住民税の減税額を求める計算方法をご紹介します。
医療費控除額の求め方
医療費控除額を求める計算手順は、以下の通りです。
- ①「医療費の総額」から「保険金などの補填金」を引く。
- ②さらに「10万円」、もしくは「総所得金額の5%(その年の総所得が200万円未満である場合)」を引く。
「保険金などの補填金」とは、健康保険や生命保険から支給される保険金・給付金を指します。
医療費控除額が気になるという方は、上記の方法で計算してみてください。
還付金の額の求め方
還付金の額(実際に返ってくるお金)を求める計算方法は、以下の通りです。
- ・「医療費控除額」×「所得税率」=還付金額
所得税率によって還付金の額は異なるため、所得が多い方が申請すると、還付金の額が大きくなります。
自身の所得税率がわからないという方は、以下の表で確認しましょう。
- ・195万円以下:5%
- ・195万円〜330万円以下:10%
- ・330万円〜695万円以下:20%
- ・695万円〜900万円以下:23%
- ・900万円〜1,800万円以下:33%
- ・1,800万円〜4,000万円以下:40%
- ・4,000万円超:45%
住民税の減税額の求め方
医療費控除では、対象となる金額に応じて、翌年の住民税が減額されるという優遇措置も受けられます。
住民税の減税額を求める計算方法は、以下の通りです。
- 「医療費控除額」-「10%(一律)」=住民税の減税額
住民税の場合は、総所得額に関係なく、還付される割合は一律10%と定められています。
住民税の減税額を知りたい場合は、医療費控除額の計算から始めましょう。
医療費控除を申請する際の注意点
実際に申請を行う前に、把握しておきたい注意点があります。
申請が終わってから後悔することがないように、事前に注意点をチェックしておきましょう。
通院にかかった交通費も対象となる
通院の際に支払った交通費もまた、医療費控除の対象となります。
ただし、医療費控除で申請できるのは「公共交通機関を利用した交通費」と定められているため、自家用車で通院した場合の駐車場代やガソリン代は、対象外となります。
公共交通機関を利用した際には「領収書」をもらう、もしくは、通院日時が確認できる状態で交通費をメモしておきましょう。
ICカードを利用している場合は、利用履歴を印刷しておくと、スムーズに申請書を作成できます。
デンタルローンでの支払いも対象となる
デンタルローンやクレジットカード払いを行った場合も、医療費控除の対象となります。
歯科治療で発生した治療費を分割で支払うことができるローンを「デンタルローン」といいます。
信販会社が治療費を立て替え、患者様が信販会社に対して分割で返済を行うという方法で、高額な治療費の支払いを行う際に利用されることが多いです。
金利や手数料は対象外となりますが、治療費に関しては医療費控除の対象となるので、忘れずに申請を行ってください。
インプラントに関するご相談はティコニーデンタルオフィスへ
歯科医療では健康保険が適用されるケースもありますが、基本的にインプラントは対象外です。
治療費の負担を軽減するためにも、忘れずに医療費控除の申請を行いましょう。
インプラントの治療を希望する方は、ティコニーデンタルオフィスへご相談ください。
当院では日本口腔インプラント学会の専修医である院長が、患者様に最適な治療方法をご提案します。
関連ページ:認定医 院長 西について
具体的な治療費を知りたい、インプラントの治療方法について聞きたいなど、まずはお気軽にカウンセリングをご予約ください。
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