笑うと歯茎が見えることがコンプレックスになっている方いませんか?
近年、お口の健康や見た目のことをしっかりと考えてくださる方が増えてきました。歯科従事者として、大変嬉しいことです。
その中で、時々、「笑った時に歯茎が広く見えて気になる」というお声を聞きます。
歯茎が気になって、笑う時に口元に手を当てたり、歯茎が露出しないように笑顔を我慢したりするということもあるようです。
せっかく歯がきれいであっても、口元を見せたくない、思い切り笑えないというのは、もったいない限りですね。
このように、笑ったときに歯茎が大きく露出してしまう状態が、ガミースマイルと言われるものです。
ガミースマイルとは
ガミースマイルとは、笑った時、上唇の下から歯茎が大きく露出してしまう状態を指します。
上の歯茎が前に出ている、上下の歯茎ごと前に出ているというような状態です。
歯茎が目立たないようにしたい、歯茎を引っ込めたいという方は、一度当院にご相談ください。
ガミースマイルの主な症状・原因は?
ガミースマイルの症状・お悩み
- 歯茎が大きく露出する
- 笑顔に自信がない
- 歯茎が気になって笑うのを躊躇う
- 喋るときに口元を手で隠してしまう
- 歯茎が乾燥し、上唇の内側が引っかかってしまう
ガミースマイルの原因
多くは、お口まわりの構造を原因として起こります。
上顎の骨が縦に長い、上顎の骨が前方に出ている(出っ歯を併発することも)、リップライン(上唇の位置)が高い、歯冠が短く歯茎が縦に長く見える、といったケースがこれに該当します。
また、上唇を持ち上げる筋肉の過度の発達により、ガミースマイルになるケースもございます。
ガミースマイルの治療(治し方)・手術の方法は?
歯茎が出ている・前に出ている場合
上唇粘膜切除術
上唇の裏側の歯茎粘膜を、横に長く切除し、その上下の粘膜を縫合します。上唇が歯列に引き寄せられ、笑った時に歯茎が露出しにくい(上唇が上がりにくい)状態になります。
メリットの多い、多くのケースで有効な治療と言えます。
メリット
- 後戻りの心配が少ない
- 一回の手術の効果が長期間維持される
- 手術時間が30分程度で負担が少ない
デメリット
- 手術後に腫れが生じる(おおよそ数日間)
メスを使用する手術ですが、切開を加えるのはあくまで上唇の裏側の粘膜です。唇の見える部位やお顔に傷がつくということはありません。
歯が短い・歯の位置が下になっている場合
歯冠長延長術
本来、見えるべき大きさで歯を露出させることで、治療前より歯を長く、且つ歯茎を縦に短くする方法です。
歯(=歯冠。歯の見えている部分)が小さいことで、歯茎が縦に長く見えるケースに適しています。
メリット
- 治療期間が比較的短い
- 後戻りを起こしにくい
デメリット
- 1~2週間ほどのダウンタイムが生じる
上唇粘膜切除術と併用し、より効果の高い治療を行うこともあります。
手術には抵抗があるけど、ガミースマイルを治したい場合
ボツリヌストキシン(ボトックス)注射
ボツリヌス菌から抽出した成分を上唇を持ち上げる筋肉に注射することで、筋肉の緊張を和らげます。上唇を持ち上がる力が弱まり、歯茎を露出しにくくなります。
上唇を持ち上げる筋肉の過度な発達が原因となっているケース、手術には抵抗があるケースなどに適しています。
メリット
- 切開は必要なく、注射のみ
- ほとんど痛みがない
- 副作用の心配がない
- 費用を抑えられる
デメリット
- 約6か月ごとに継続的に注射をする必要がある
効果が6か月ほどでなくなってしまう点が、デメリットとして挙げられます。まずは試しにガミースマイルの治療を受けてみたい、という方にもおすすめです。
出っ歯などが原因によりガミースマイルを治したい場合
矯正歯科治療を用いた治療
上顎が前方に出ている、出っ歯などを原因とした軽度のガミースマイルであれば、矯正歯科治療で改善することが可能です。
当院では、透明で目立たないマウスピース型の矯正装置「インビザライン」を使用したガミースマイルの治療を行っております。もちろん、同時に歯並びもきれいにすることができます。
メリット
- 原則として切開を伴う外科的な治療が必要ない
- 同時に歯並びもきれいにできる
デメリット
- ガミースマイルの程度によっては、矯正歯科治療のみでは対応できないことがある
- 他の治療法に比べて、治療期間が長い
歯並びがきれいになることで、食べ物が詰まりにくく、歯が磨きやすくなり、咬み合わせも改善されます。
虫歯や歯周病のリスクが低減されますので、審美面でも、健康面でもメリットの大きい治療です。 矯正用の小型のインプラントを用いて歯をより自由に動かす「インプラント矯正」や、歯冠を延長し歯茎の縦の長さを短くする「歯冠長延長術」との併用も可能です。
これらの併用が必要かどうかは事前に判断できますので、どうぞお気軽にご相談ください。
自力で治すことはできない?
表情は、無意識につくられるものであり、それは笑顔も同様です。
鏡の前で歯茎が見えないように笑う練習をする、という方法もあるようですが、いざという時にその表情がうまく出せるかというと難しいと言わざるを得ません。
お口まわりの構造は変わっていないわけですから、その改善の程度にも限度があります。
ご家庭で自力でガミースマイルを解消するのは、ほとんど不可能と言えるでしょう。長くお一人でお悩みになるよりも、まずは一度、当院にご相談ください。
患者様に合った治療法で、ガミースマイルの改善・解消のお手伝いをさせていただきます。
ガミースマイルは、子供にも遺伝する?
ガミースマイルの多くは、お口まわりの構造的な問題によって起こります。つまり、歯並びの乱れと同様、遺伝的な要素が大きくかかわってきます。お父様・お母様のうちのどちらかがガミースマイルである場合、お子様に遺伝する可能性があります。
お子様のガミースマイルは、永久歯への生え替わりの時に治ることがありますが、その後は自然な改善は期待できません。
生え替わり後もガミースマイルが続いている、生え替わり前だがガミースマイルが心配というときには、一度当院にご相談ください。早くにご相談を頂ければ、顎が成長する力を利用しながら、手術などの方法をとらずにガミースマイルを治療・予防することも可能です。
子供がガミースマイルの場合の原因と治療法
先述の通り、お子様のガミースマイルは遺伝が大きく影響します。また、舌の癖や口呼吸、顎の発達の不十分などによって、後天的にガミースマイルが生じたり、元々のガミースマイルが悪化したりといったこともあります。なお、この時、歯並びの乱れも起こしやすくなります。
顎がまだ成長過程にある場合には、その成長の力を利用した矯正治療によりガミースマイルを改善・予防することが可能です。歯並びや骨格をコントロールすることで、ガミースマイルが起こりにくいお口へと導きます。
お子様の場合は、原則としてガミースマイルの改善だけを目的とした矯正治療、手術治療は行いません。ただ、ガミースマイルと歯並びの乱れ・骨格の問題は同時に起こることが多いため、お子様のガミースマイルが気になる時には、一度お気軽にご相談頂ければと思います。
なお、歯並び・骨格が完成してからでも、出っ歯などによる軽度のガミースマイルであれば、矯正治療による改善が可能です。
ガミースマイルは保険適応にならない?
ガミースマイルは、虫歯や歯周病とは異なり、病的な問題ではありません。そのため、基本的に健康保険は適用されません。
ただし、日常生活に支障をきたすような場合には、健康保険が適用されることがあります。顎の変形に起因しているケースなどがこれにあたります。その他にもいくつか適用例がありますので、まずは一度、当院にご相談ください。
もちろん、保険が適用されるのかどうかが分かってから、治療を受けるかどうかを決めてくださって構いません。
上唇粘膜切除術などを行った場合には、医療費控除(家族で一年間に支払った医療費の合計が10万円を超えたときに受けられる控除)の対象になり、支払った税金の一部が還付されますので、こちらもぜひご利用ください。
なお、医療費控除を受けるためには、確定申告の際に申請が必要です。
ガミースマイルの治療費・手術の費用は?
※料金は、税込み表示となっております。
上唇粘膜切除術 | 165,000円 |
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歯冠長延長術(Crown lengthning) | 110,000円 |
ボツリヌストキシン(ボトックス)注射 | 11,000円 |