歯周病は自分で治せる ?
歯周病は、風邪などのように休息をとったり自然治癒力に頼ったりしても治ることはありません。歯茎の炎症が一時的に治まる程度のことはありますが、歯周病そのものは進行を続けています。
歯周病と診断されたら、必ず歯科医院で治療を受けましょう。
こんな症状はありませんか ?
歯周病には、以下のような症状が見られます。初期にはほとんど症状が見られませんので、1つでも該当する方は、お早目にご相談ください。
歯茎から血が出る
歯を磨いた程度で出血する、あるいは何もしていないときに出血する場合は、炎症が起こっていると考えられます。
歯茎が腫れる・ムズムズする
鏡で見たときに歯茎が腫れている、何気ないときに歯茎がムズムズする場合は、炎症が進んでいるものと思われます。
お口の中がネバつく・苦い味がする
起床時のお口の中は、細菌が繁殖している状態です。ネバつきや苦い味がする場合には、特にお口の中の衛生状態が良くないものと思われます。
口臭がひどくなる
口臭の強まりも、歯周病のサインである可能性が高いと言えます。
歯周病をそのままにすると
歯肉炎
歯茎からの出血、腫れ、むずがゆさなどの症状が現れます。
軽度の歯周炎
出血、腫れ、むずがゆさの頻度・程度が高まり、口臭も強くなります。この時点で、歯を支える顎の骨が少しずつ溶け始めます。
中程度の歯周炎
歯茎が大きく腫れたり、歯がぐらついたりといった症状が現れます。硬いものを食べづらくなります。歯茎が下がり、代わりに歯の根が露出し、前より歯が長く見えます。
重度の歯周炎
歯が大きくぐらつくようになり、食事中など、ふとしたはずみで自然に抜け落ちてしまいます。また当然ながら、他の歯も脱落に近い状態にありますので、放置していれば歯を次々と失うことになります。
歯がなくなるとどうなるの ?
歯を失ったときに起こる事態は、歯があるうちはなかなかイメージできないものです。
実際に歯を失うと、以下のようなことが起こります。
人前で話しづらくなる
歯がない口元は、誰も人に見られたくありません。人と話すこと、あるいは外出そのものに消極的になります。
口元が見えないようにと、手で隠したり、笑うことを我慢したりする方もおられます。
食事が偏り、生活習慣病を誘発する
肉だけでなく、噛み切りにくい野菜、小魚など、これまで当たり前のように口にしていたものが食べられなくなります。また、細かくできずに飲み込む癖がつくため、食べ物の栄養を十分に吸収することができなくなります。
結果、栄養の偏りが生じ、生活習慣病などを引き起こす原因になります。
体の歪みの原因にもなる
歯を失い咬み合わせに偏りが生じることで、顎関節、肩、腰の左右バランスの乱れを引き起こします。
また、噛む力が弱まり、噛む回数が減ることで脳への刺激が減り、体の平衡感覚が低下し、転倒しやすくなるとも言われています。
話しづらく、コミュニケーションがとりにくくなる
1本の歯でも失うことで発音が難しくなります。口元の見た目への心配と相まって、人とコミュニケーションを取ることに不都合が生じます。
歯周病は治るの ?
歯科医院でプラーク・歯石を徹底的に除去し、炎症を抑え、歯茎の状態を改善していくこと、そして正しいセルフケアを身に着ければ、歯周病の進行を阻止することは可能です。
治療後は、定期的なプロフェッショナルケア(メインテナンス)によって、歯茎の健康を維持していきます。
歯周病治療の流れ
Step1各種検査
お口の中を拝見し、歯周病であるかどうかを確認します。
Step2精密検査
歯周ポケット検査、CT検査などを行い、現状を正確に把握します。
Step3治療計画・説明
精密検査の結果をお伝えし、どのように歯周病を治療していくかを、患者様にご説明します。
ご不明な点がございましたら、ご遠慮なくお尋ねください。
Step4歯周基本治療
お口の中のプラークや歯石を、専用の器具を用いて徹底的に除去します。この工程は、数回に分けて行われます。
また同時に、ご自宅でのセルフケアの指導も行います。
Step5再検査・再評価
再度、精密検査を行います。お口の状態が目標にしていたレベルに達していれば、ここで治療は終了です。
Step6メインテナンスへ移行
治療後も、3カ月に1度程度はご来院いただき、クリーニングなどのメインテナンスを受けていただきます。メインテナンスは、良くなったお口の状態を安定させるための大切な工程です。必ずお越しくださいますよう、お願いします。
中等度・重度の歯周病の方へ ~歯周外科治療~
軽度の歯周病であれば、専用の器具でプラークや歯石を徹底的に除去する「歯周基本治療」での改善が可能です。 しかし、中等度・重度にまで進行した場合には、歯周基本治療のみでは十分な結果が得られないことが多く、切開を伴う「歯周外科治療」が必要になります。 TICONY DENTAL OFFICEでは、軽度~重度にかけての歯周病治療を多数行って参りました。歯周外科治療においても確かな実績がございますので、安心してご相談ください。 1本でも多くの歯を、できるだけ健康な形で、長く残すお手伝いをいたします。
歯周外科治療とは?
歯周基本治療では、歯冠部(歯の見えている部分)と歯周ポケットの比較的浅い部分のプラーク・歯石の除去が行われます。そのため、歯周ポケットの深くにプラーク・歯石が蓄積している場合には、歯周基本治療による完全な清掃が難しくなります。また、歯周病により溶けてしまった顎の骨が自然に回復することもありません。
そういったときに行われるのが「歯肉剥離掻爬術」や「歯周組織再生療法」です。局所麻酔をかけて切開を加え、外科的に歯周病を治療します。
その他、下がってしまった歯ぐきの審美性と機能性を回復させる遊離歯肉移植術、結合組織移植術なども行っております。
歯肉剥離掻爬術(フラップ手術 )
歯ぐきに切開を加え、一時的に歯の根を露出させてプラーク・歯石を除去します。歯周基本治療では難しかった、歯周ポケットの奥深くまできれいにすることができます。
歯周組織再生療法(エムドゲイン ・GTR法)
歯周組織再生療法には、エムドゲインやGTR法などがあります。GTR法は、組織再生誘導法と呼ばれることもあります。
エムドゲイン
歯ぐきに切開を加え、顎の骨が溶けてしまったところにエムドゲインゲルを塗布します。ゲルの働きにより、顎の骨の再生が促されます。
GTR法
歯ぐきに切開を加え、顎の骨が溶けてしまったところを特殊な人工膜で覆い、顎の骨の再生を促す方法です。
遊離歯肉移植術(FGG)
遊離歯肉移植術(ゆうりしにくいしょくじゅつ)とは、歯周病によって歯ぐきが大きく下がり歯の根が露出してしまったときに、口蓋(お口の天井)から組織を上皮ごと採取して移植する手術です。歯の根が再び歯ぐきに覆われ、審美面が回復するとともに、汚れが溜まりにくく・ブラッシングがしやすくなります。
結合組織移植術(CTG)
結合組織移植術とは、遊離歯肉移植術と同様、歯周病によって歯ぐきが大きく下がってしまったときに行われる移植術です。上皮の内側にある組織(結合組織)のみを移植するため、移植先の上皮の色が変わらず、より美しく仕上がります。ただし、やや難易度が高くなります。
歯周病のQ&A
歯周病は薬で治りますか?
炎症を一時的に抑える薬はありますが、歯周病そのものを治す薬はありません。プラーク、歯石を除去し、その状態を維持することで、歯周病菌の数を減らしていくしかないのです。
歯周病を直すには何回通えばいいですか?
歯周基本治療では、4~6回の通院が必要になります。それ以外に、治療前後の各種検査などもございますので、全体として6~8回くらいの通院を目安にお考えいただければと思います。
歯周病の進行の状態によって、それ以上の回数の通院が必要になることもあります。
歯周病に効く歯磨き粉が知りたい。
歯周病に効く、つまり歯周病が治る歯磨き粉というものは存在しません。選ぶとすれば、歯周ポケットへの細菌の侵入を防ぐ、コーディング効果があるものが良いです。
セルフケアにおいて大切なのは、歯磨き粉よりも、歯ブラシやデンタルフロスなどで、毎回しっかりとプラークを除去することです。
歯ブラシはどんなものを使えばいいですか?
患者様のお口のスペース、歯並び、歯茎の状態によって異なります。当院の歯科衛生士がアドバイスいたしますので、ぜひ一度ご相談ください。
「歯槽膿漏」と「歯周病」は何が違うの?
歯周病の以前までの呼び名が歯槽膿漏であり、同じものを指しています。
電動歯ブラシを使う方がいいの?
基本的に、手動の歯ブラシできれいに磨けている方は、あえて電動歯ブラシに切り替える必要はないと考えます。
どうしても時間を短縮したい、手が不自由でうまく磨けないという方も、手動の歯ブラシと同様、歯科医院で正しい磨き方を教わった上で使用されることをおすすめします。